【心不全療養指導士】過去問の出題傾向を総まとめ!おすすめ問題集も紹介

心不全療養指導士 勉強方法

心不全療養指導士の受験予定の皆さん!

心不全療養指導士の受験したいけど、どんな問題が出たんだろう、、、

心不全療養指導士の試験は最近始まったばかりで情報が全然見つからない、、、

心不全療養指導士の試験対策はどうしたらいいの?良い問題集はあるの?

心不全療養指導士を勉強するとき、試験対策に悩まされることってありませんか?

自分も2023年に心不全療養指導士を受験したとき、特に過去問の情報が少なくて対策に困りました、、、

そこで!この記事では実際に受験して合格した体験をもとに試験の概要や過去問の傾向をテキストの各章にまとめてお伝えします。

今回、2023年度の心不全療養指導士筆記試験を受けた、他の受験者さんからも情報提供いただいた内容になっています。

この記事を最後まで読んでいただければ、過去問やオリジナル問題も見ながら試験の対策ができます。ぜひ参考にしてください!

<筆者プロフィール>

急性期病院の8年目の看護師です。循環器内科で勤めた後、現在はHCUで勤務しております。

心不全療養指導士の他、ICLSインストラクター・3学会認定呼吸療法認定士・心電図検定2級を取得しております。

「わかると楽しい」という考えから色々な資格に挑戦しながら日々奮闘中です。

同じ資格を目指す医療従事者の皆さんの力になれたらと思い記事を書いております。

 

 

心不全療養指導士の筆記試験の時間やスケジュールはどうなっている?

筆者が受験した試験日は、 2023年12月17日でした。

この章では、筆者が受けた当日の時間割や試験形式についてご紹介します。

試験日 2023年は12月17日でした。

・時間割(2023年)

 入場開始12:00

 試験説明12:45〜

 認定試験13:00〜15:00(2時間)

 (13:45を最終入場とし、以降の入場は認められません。)

・試験形式(2023年)

 マークシート 

 選択肢4つから正しいもの/間違っているものを1つまたは2つ選択するもの

 80問出題

認定試験は、症例報告の書類審査に合格した人のみ受験可能となります。

受験する年度によって、時間割や出題形式が変わる可能性がありますので、日本循環器学会の公式サイトも確認してみてくださいね。

 

過去問の各章まとめ(2023年)

早速、過去問を見てみましょう!

この章では、問題を完全に復問できないものに関しては二者択一や違う形式にしております。

解説もしているので、公式テキストをお持ちの方は、参照しながら参考にしてください!

 

第1章心不全療養指導士の役割・機能

⚪︎脳卒中と循環器克服5カ年計画の大目標で正しいものはどれか

1脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を5年で5%減少させる

2脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を10年で5%減少させる

3脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を5年で10%減少させる

4脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を3年で5%減少させる

 

「解説」

正解は1です。

循環器病は死亡者・患者数・医療費・平均寿命と健康寿命の乖離の原因になっています。

どれをとっても問題を抱えていて、日本の健康寿命を伸ばしていくために

循環器病の克服が重要とされています。

*公式テキストをお持ちの方はP2を参照ください。

 

第2章心不全の概念

⚪︎心不全の進展ステージの記述として正しいものはどれか

1器質的心疾患のある心不全兆候があるものは心不全ステージBである。

2器質的心疾患がなく、危険因子があるものは心不全ステージDである。

3器質的心疾患があり心不全兆候があるものは心不全ステージCである。

4治療抵抗性が高くNYHA分類Ⅲ度から改善しない状態は心不全ステージAである。

 

「解説」

答えは3です。心不全ステージを正しく理解していることが大切です。

症例報告をする際にも心不全ステージを記載する箇所があるので抑えておきましょう!

A→Dにかけて心不全の症状・状態は重くなっていきます。

*公式テキストP11ご参照ください。

⚪︎心筋梗塞後で利尿剤内服中の患者は心不全ステージはどれに当てはまるか。

1心不全ステージA

2心不全ステージB

3心不全ステージC

4心不全ステージD

 

「解説」 

答えは3です。

心疾患の既往があり、利尿剤を内服して心不全症状をコントロールしている状態のためステージCと言えます。

第3章心不全の予防活動

⚪︎心不全の進展ステージとその介入として正しいもの

1心不全ステージBの患者に心不全悪化予防のための指導をした

2心不全ステージDの患者に心不全発症予防の指導をした

3心不全ステージCの患者に症状緩和のための治療計画を立てた。

4心不全ステージAの患者に危険因子のコントロールをするための支援をした。

 

「解説」

正解は4です。

心疾患なし+リスク因子のみあり=ステージA(外来レベル)

心疾患あり+心不全兆候ない=ステージB(外来レベル)

心疾患あり+心不全兆候あり=ステージC(ほとんどの入院患者さんが当てはまると思います)

治療抵抗性が高いor心不全末期=ステージD

心不全の進展ステージの定義が理解ができたら、各ステージの治療・介入目標を抑えておきましょう。

 

第4章心不全の概念・診断・成因・検査

⚪︎心周期で正しいものはどれか

1心室の収縮期に大動脈弁は開口する

2心室の収縮期に僧帽弁は開口する

3僧帽弁の閉鎖がⅡ音として聴取される

4大動脈弁の閉鎖がⅠ音として聴取される

 

「解説」

正解は1です。

僧帽弁が閉じたあとから心室の収縮期に入り、大動脈弁の開口→閉鎖してから心室の拡張期に入ります。

僧帽弁(房室弁)が閉じたときⅠ音、大動脈弁が閉じた時にⅡ音が聴取されます。

ポイントは弁が「閉じた」音が聴取されることです。開いた音とのひっかけに注意しましょう。

テキストをお持ちの方はP35 「心周期と心電図」をご参照ください。

⚪︎うっ血所見として正しいものはどれか

1小さい脈圧

2四肢冷感

3腹水

4腎機能悪化

 

「解説」

答えは3です。その他は低灌流の所見です。

ちなみに、

うっ血所見:起坐呼吸 頸静脈怒張 浮腫 腹水 肝頸静脈怒張

低灌流所見:小さい脈圧 四肢冷感 傾眠傾向 低Na血症 腎機能悪化  です。

 

⚪︎右心不全の兆候として正しくないものはどれか

1頚静脈怒張

2浮腫

3便秘

4肺の荒い断続性副雑音

 

「解説」

答えは4です。4は左心不全の兆候です。

  1. 頚静脈怒張 

右心不全では、右心室の収縮力低下により静脈圧が上がり、頚静脈が怒張する症状がみられます。

右心系の動きが悪くなり、心臓前の血流が渋滞してしまうことでおきます。

  1. 浮腫 

右心不全では、静脈のうっ滞により体液が血管外に漏出し、浮腫が起こります。

  1. 便秘 

右心不全では、腸管の血流低下により腸の運動が低下し、便秘が起こりやすくなります。

  1. 肺の荒い断続性副雑音 

左心不全に特徴的な所見になります。

呼吸器系の症状は左心不全によって出現します。

左心の動きが悪くなると肺動脈の血流がうっ滞し、肺水腫や心臓喘息、胸水貯留などが出現します。

身体所見としては水泡音(荒い断続性副雑音)やピンク色の泡沫痰がでます。

心音ではⅢ音(奔馬調律・ギャロップ音)が聴取されます。

*テキストお持ちの方はP58〜59参照ください。

 

⚪︎頻脈が高度の場合は、心拍出量が低下するか。

 1する 

2しない

 

「解説」

答えは1です。

高度の頻脈で 1 回拍出量の低下から心拍出量の低下を呈します。 

心拍出=1回拍出量×心拍数で算出されますが、それと同時に心拍が早いと心臓の拡張時間が短くなり拍出量は低下します。

(心臓に血液をためれていない状態での拍出=空打ち状態になる)

※計算式だけを覚えていると頻脈により心拍出は増加すると考えてしまいますが、

心周期にも影響を及ぼすことも忘れてはいけないところです。

*テキストをお持ちの方はP37 参照ください。

 

⚪︎大動脈弁閉鎖不全症は左室からの前方駆出の低下と逆流による左室の容量負荷がかかる病態である。 

1正しい

2正しくない

 

「解説」

正解は1です。

大動脈弁の閉鎖が不完全なことなことで大動脈から左室へ血液が逆流します。

逆流によって左室に圧力がかかってしまい心機能が低下します。

さらに逆流した分だけ、全身に送り出される血流も低下してしまいます。

急性発症では心性ショックに陥ることもあります。

大動脈の閉鎖不全(AR)・狭窄症(AS)

僧帽弁の閉鎖不全(MR)・狭窄症(MS)

それぞれの特徴を抑えておきましょう。

心臓の解剖をイメージしながら覚えると理解しやすいと思います。

*テキストをお持ちの方は P50を参照ください。

 

第5章心不全の治療

⚪︎HFrEFの薬物治療薬におけるFantastic Fourに含まれないものはどれか

1カルベジロール

2フロセミド

3エプレレノン

4ダパグリフロジン

5サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物

 

「解説」

答えは2です。利尿剤は含まれません。

この問題のポイントと感じたのは薬剤が一般名で出題されたことです。

4剤がβ遮断、MRA、ARNI、SGLT2阻害であることをご存知の方は多いと思いますが、

試験では一般名で出題されたので注意です!

薬剤は一般名まで抑えておきましょう!

 

⚪︎β遮断薬の副作用として正しくないものはどれか

1めまい

2吐き気

3徐脈

4高血圧

 

「解説」

答えは4です。

β遮断薬は心保護作用があり、心不全薬のキードラッグです。

交感神経の働きを抑制して心臓を守る分、血圧は下がる傾向にあります。

心拍数を下げる効果もあるため、効きすぎると徐脈やめまい症状も出ることがあります。

 

⚪︎SGLT2阻害薬の副作用として正しいものはどれか

1尿路感染

2脱水

3口渇

4尿量低下

「解説」

答えは4です。

尿糖を出す作用で尿量は増加します。

SGLT2の心不全に対する有効性の機序は不明な点も多いとされています。

利尿作用やその他の効果(心筋代謝効率改善、腎保護作用、ヘマトクリット上昇、糖代謝改善など)を期待できるため心不全治療に用いられています。

*テキストお持ちの方はP89参照ください

⚪︎心臓移植に関して正しいものはどれか

1心臓移植登録の条件に、年齢が65歳未満で心臓以外の臓器に問題がないことがある

2 2018年〜2020年の3年間で心臓移植は年10例に止まっている。

3LVADとは携帯型ポンプを用いて、右室から血液を吸い出し、下行大動脈に血液を送る

ことで右室の働きを補助するものである

4LVADには感染や血栓、出血性合併症のリスクはない

 

「解説」

正解は1です。

2:心臓移植は18年〜20年で年60例行われています。

3:右室ではなく左室の血液を吸い出し、上行大動脈に血液を送ることで左室の働きを補助します。

4:LVADではいずれもリスクになります。

 

⚪︎COPDでβ2刺激薬を投与下でもβ遮断は使用可能か 

1できる

2できない

「解説」

正解は1です。

・気管拡張目的でβ2刺激薬を使用していても心臓のβ遮断薬は積極的投与を推奨されています。

・心不全治療に用いられているβ遮断薬はβ1or α1+β1ブロックの作用は気管支への影響は少ないとされています。

<補足>

β1に選択性が高いのがビソプロロールとされていますが、以下の注意も必要です。

・心抑制作用が強く血圧・脈拍を下げやすい

・腎代謝の薬剤のため腎機能が低下した患者にビソプロロールを投与する際は、血中濃度上昇による副作用発現のリスクが高まるため、慎重な用量設定と経過観察をする。

・血圧を下げやすいが、α遮断がないため起立性低血圧や神経調節性失神などを起こしている患者にはビソプロロールの方が向いているという研究もあります。

・カルベジロールはα1+β1を抑制します。ビソプロロールよりもマイルドに心抑制してくれます。肝臓代謝でもあり、腎機能低下時にも使用を検討されます。

*テキストをお持ちの方はP110をご参照ください。

 

⚪︎アミオダロンの記述として正しいものを選びなさい

1重症心室性不整脈と af の洞調律維持で適応 

2アミオダロンの副作用で副甲状腺機能異常が出る? 

3アミオダロンの副作用で細菌性肺炎なりやすい 

 

「解説」

正解は1です。

アミオダロンは優れた抗不整脈薬で致死性不整脈による急変時にも使用されています。

しかし、危険な副作用もあり理解しておく必要があります。

 

<アミオダロンの3つの適応>

①心室不整脈のICD作動の回避目的

②HFrEFの心房細動に対して洞調律を維持する目的

③心房細動のレートコントロールを行う目的(β遮断などでの困難な場合)

 

<アミオダロンの副作用>

アミオダロンの副作用は、以下となります。

・甲状腺機能異常 

・間質性肺炎 

・肝機能異常 

・角膜色素沈着

など

心不全に間質性肺炎を発症すると、生命予後がかなり悪くなるため注意が必要です。

採血やレントゲンでのフォローと看護師は臨床症状の観察が大切です。

*テキストお持ちの方はP51参照ください

 

⚪︎心不全治療薬の記述として正しいものを2つ選べ

1ACE阻害薬はアンギオテンシンⅡからⅠへの産生を阻害する

2イバブラジンは 心房細動で適応になる 

3CKD患者はジゴキシンによる副作用出やすい 

4βブロッカーとACE阻害薬は NIHA分類Ⅰ〜Ⅳの 全てで適応 になる

5ループ利尿薬は高Na血症の副作用がある

6CKD ステージ4.5にβ遮断薬、ACE阻害薬は禁忌 である

 

「解説」

正解は3と4です。

1:アンギオテンシンⅡが強力な生理活性物質になり心不全への悪影響を及ぼします。

ⅠからⅡに変化するのを抑制するのがACE阻害薬です。

ARBはアンギオテンシンⅡの受容体をブロックしてくれる作用があります。

*テキストお持ちの方はP86 ご参照ください

 

2:洞調律の HR75 回以上が適応 になります。

・イバブラジン(コララン)はレートコントロールに使用されます。

・純粋に心拍数のみを下げてくれる(=心拍出量を落とさずに心筋酸素消費量を抑えることができる)ため、心機能が悪すぎてβ遮断を増やせない状況においても使用できる薬剤です。

・しかし、洞調律・心拍75以上のHFrEFにしか適応がないです。目標HRが50〜60で薬剤調整します。

3:ジゴキシンは腎排泄のため腎機能が悪化していると血中濃度が上昇しやすく副作用がでやすいです。

4:慎重に投与する必要があるが禁忌ではないです。

5:低ナトリウム血症になることがあります。

・近位尿細管でのナトリウムの再吸収を抑えることで利尿効果を発揮します。

そのため低ナトリウム血症のリスクがあります。

・ちなみに純粋な水利尿を行うバソプレシン受容体拮抗薬(サムスカ)は血液濃縮による高ナトリウム血症に十分に注意が必要です。入院中に採血しながら導入する薬剤です。

※これは実際の出題形式と異なります。

6つの選択肢の問題はありませんのでご安心ください。

 

非薬物療法

⚪︎植え込み型除細器に関する記述として正しいものを選べ。

1持続性心室頻拍、心室細動、電気ショックを要する心肺蘇生の既往がある心不全患者の

 再発予防を一次予防という。

2電解質異常などの可逆的な要因がある場合でも適応になる

3植え込み後は抑うつ傾向になることはなく、継続的な精神支援が必要はない

4埋め込み型ペースメーカーや埋め込み型除細動器の創部周囲に発赤が発生した場合、担当医へ相談する

 

「解説」

正解は4です。

<ICDの適応>

①一次予防:持続性心室頻拍、心室細動、電気ショックを要する心肺蘇生の既往がなく致死性不整脈の高リスクな患者への予防

②二次予防:持続性心室頻拍、心室細動、電気ショックを要する心肺蘇生の既往がある心不全患者の再発予防

1このケースは二次予防です。

2可逆的な要因ではICD適応になりません。

 低カリウム血症や低マグネシウム血症は致死性不整脈を誘発しやすく補正が必要になります。

3いつショック作動するかという不安でうつ傾向になる方は少なくありません。

4ペースメーカー挿入部の感染が疑われる兆候ですので医師に報告が必要になります。

 

第6章心不全の療養指導

⚪︎心不全のセルフモニタリングにおけるすぐ受診が必要なレッドカードに当てはまるものはどれか

1横になると苦しいが座ると楽になる

23日間で2kg以上の体重増加

3動くと息が切れるが安静ですぐに症状が落ち着く

4食欲がなく、疲れやすい、だるい

 

「解説」

答えは1です。

1は起坐呼吸の症状であり、心不全増悪しているサインでありすぐに受診が必要です。

その他の選択肢は予約よりも早めに受診が必要なイエローカードに当てはまる症状になります。

テキストお持ちの方はP133を参照ください。

 

⚪︎心不全のセルフケアに関する記述として正しいものを選びなさい。

1セルフケアは手首式が推奨

2セルフケアは下腿を圧迫して評価する。 

3体重測定は毎日やれば時間帯は問わない。

4心不全患者は全例に禁酒を進める。

 

「解説」

正解は2です。10 秒間、下腿を押して評価します。

1手首式は少し低下します。血圧測定は上腕に巻くタイプが推奨されています。

3血圧は サーカディアンリズムの影響もあり、日内変動があるためタイミングや時間は設定した方が望ましいとされています。 

4節酒からで良いとされています。

 「健康日本21」によりますと、目安は純アルコール量1日20g程度とされています。

 これは5%のアルコールを500ml/日 に相当します。

*テキストお持ちの方はP133・P175をご参照ください。

 

第7章特殊な状況・病態時の療養指導

⚪︎次の記述で正しいものはどれか

1飲水制限は効果的であり軽症の慢性心不全でも推奨されている

2心臓悪液質の患者では腸間膜動脈・腹腔動脈の血流が減少、腸管浮腫を認める

3慢性心不全の塩分目標は8g未満である

4心不全患者の場合は肥満の場合よりも痩せの場合の方が予後が良い。

 

「解説」

正解は2です。栄養管理に関しての問題です。

1心不全に対する飲水制限が有効であるという明確なエビデンスはなく、軽症の心不全では  不要とされています。

 これは日常の指導でもポイントなるところかと思います。

3塩分目標は1日6g未満に設定されています。

4肥満の方が痩せよりも予後が良いとされており、「肥満の矛盾」とされています。

テキストをお持ちの方はP139〜153をご参照ください。

 

⚪︎認知機能の低下では、投薬管理が早期から障害されやすい

1正しい 

2正しくない

 

「解説」

 正解は1です。

 服薬管理能力は認知機能低下のかなり早い段階で(具体的にはMMSEで20点前後)

新規の処方や服薬回数が多い場合には支障をきたすと言われています。

そういったケースでは薬剤の1包化や服薬回数をできるだけ減らすなどして対応をとります。

また、認知機能の正確な評価を行いご本人にできることと補助が必要なことを明確にしていくことも大切です。 

 

⚪︎妊娠患者は出産直前に心不全になりやすい 

1正しい

2正しくない

 

「解説」 

正解は2です。

妊娠・出産の流れで母体の循環動態がダイナミックに変化します。

<妊娠期の変化>

①妊娠30週(妊娠後期)の頃には循環血漿量が非妊娠時の1.5倍になる

  =この時期は心機能が悪い方は特に心不全の出現に注意が必要です。

②血圧上昇による妊娠高血圧症候群のリスク

③出血に備えて凝固能が亢進するためDVTや肺塞栓のリスクの上昇

④ホルモンバランスの変化で血管が脆くなり大動脈解離のリスクの上昇

以上のことから、妊娠期においても各種症状の注意深い観察が必要になります。

*テキストお持ちの方はP116をご参照ください

 

⚪︎服薬アドヒアランス不良の定義は服薬 30%残薬 である

1正しい

2正しくない

 

「解説」

正解は2です。

明確な定義はありません。

原因も複合的で多職種間で情報共有をして対応を検討していく必要があります。

*テキストお持ちの方はp136をご参照ください

 

⚪︎低活動型のせん妄患者にベンゾジアゼピン投与を積極的に行う。

 1正しい

2正しくない

 

「解説」

正解は2です。

せん妄の悪化原因になるため原則は投与しないことになっています。

ベンゾジアゼピン系は暗闇を作って入眠を促すイメージです。

暗闇によって不安定になってしまいせん妄が悪化するイメージとして捉えています。

過活動性せん妄の第一選択薬は抗精神薬になります。

低活動性せん妄に対する薬物治療は確立していないです。

 

第8章心不全の緩和ケア

1心不全の症状で「痛み」を経験することはない

2ACPは心停止時に蘇生行為を行わないことである

3心不全と予後予測しやすいとされている

4ACPは複数回行うよりも1 度でじっくりと行う方が良い

 

「解説」

1心不全からはイメージしにくいですが、出現頻度が終末期では比較的多いです。

心臓由来のものと非心臓由来(筋骨格、浮腫、神経原性、カテーテル類など)によるものもあります。

2ACPは緩和や今後のことを事前に相談するものです。話し合いの答えも大切ですが、話し合いの過程に意味があるとされています。

3進行と一時的な寛解を繰り返し急激な悪化しても起こります。そのため終末期の判断が困難とされやすいです。

4病状の変化や病態に応じて適宜実施を推奨されています。

 

第9章病院と在他の連携

⚪︎以下の記述で正しいものを選びなさい

1地域包括ケアセンターは日本脳卒中学会が設置している 

2介護保険サービスで特別養護老人ホームのショートステイを使用することができる 

3寝たきり状態ではないと在宅医療(サービス)は使用できない

4退院カンファレンスはリモート会議での参加はできない 

 

「解説」

正解は2です。

1地域包括支援センターは市町村が設置します。

 

3 在宅医療を受ける対象は明確な定義はされていませんが、「通院困難な患者」が対象になっています。

病院完結型医療から自宅で看取りたいという患者のニーズに答えるべく地域完結型医療が推進されています。

超高齢化を迎える日本では高齢者の増加・多死に伴い病床不足も問題になっており、社会的な背景も影響しての動きです。

 

4対面での実施が原則ではありますが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定が可能です。

また、退院前カンファレンスで多職種で話し合った指導の内容などについて診療録へ記載し文書により情報提供を行うことで退院時共同指導料として診療報酬を算定することもできます。

これは病院側と在宅の医療機関や事業所のどちらも算定できます。

 

⚪︎以下の記述で正しいものを選びなさい

1特別訪問看護指示書を月3回だせる 

2訪問ケアプランはケアマネジャーが作成する 

3要支援は訪問サービスできない

4指定難病に心不全が出る疾患はない 

 

「解説」

正解は2です。

ケアマネジャーは介護保険法に基づいて要支援・要介護者のケアプランを作成したり、給付管理や対象とその家族とケアに関する相談、サービス事業所との調整などを行います。

1 特別訪問看護指示書は急性増悪、終末期、退院直後など頻回な訪問看護が必要と主治医が判断した場合に発行される指示書です。

基本的に月に1回発行でき、14日間有効です。

ただし気管カニューレを使用している方、真皮を超える褥瘡のある方は2回発行できることになっています。

 

3 要支援でも要介護のいずれも使用できます。

 

4 先天性心疾患、特発性拡張型心筋症・肥大型心筋症といった心疾患が指定難病に当てはまります。

ちなみに指定難病は333あり、医療費助成になるには重症度分類で病状が一定以上の場合のみになります。

全ての指定難病が医療費助成の対象にはならないということですね。

以上が過去問になります。

問題の答えの根拠は公式テキストにあるので、テキストをしっかり読んでおくことが大切です。

一緒に合格を目指して頑張りましょう!

 

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オリジナル問題と詳しい解説

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過去問から出ていない箇所からも出題しているので、力試しに問題を解いてみてください!

 

⚪︎禁煙関連の記述で正しいものを選びさない

1禁煙外来は、禁煙意思があれば誰でも受けることができる 

2禁煙外来は保険適応にならない

3喫煙の影響として交感神経を刺激があげられる。

4加熱式タバコにはニコチンが含まれておらず、禁煙につながる

 

「解説」

正解は3です。

1以下の3つ全てが該当する場合のみ適応になります。

<禁煙外来(ニコチン依存症管理料)>

①ニコチン依存症に関わるスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と診断されても のであること(TDS5点以上)

②ブリクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること

③直ちに禁煙することを希望し、「禁煙治療のための標準手順書」に沿った禁煙治療につい て説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意しているもの

2 上記のように保険適応になります。

<喫煙の身体への影響>

・交感神経の刺激

・覚醒剤よりも強い依存性

・タバコの3大有害物質の一つである一酸化炭素(CO)が

 ①血管収縮・血管炎症を起こす

 ②一酸化窒素(NO)の減少により血管拡張が抑制され、冠動脈攣縮の要因になる

 ③血小板凝集能の亢進による血栓のリスクを上昇させる

 ④肺機能の低下

 タバコはまさに百害あって一利なしです。

4加熱式タバコにもニコチンが含まれており、変更しても禁煙に繋がらないことを

 理解しておく必要があります。

 

⚪︎心臓検査において正しいものを選びさない

1心胸郭比は立位とポータブル座位で基準が同じである。

2肺胞性肺水腫が出現する病態ではバタフライシャドウが出現する。

3胸部レントゲンで典型的な心不全は下肺野血管陰影が増強する。 

4BNP上昇のみで心不全を診断可能である。

5胸水が貯留すると肋骨横隔膜角は鋭角になる。

 

「解説」

正解は2です。

1レントゲン立位>50% 、ポータブルレントゲン座位>60%で心拡大基準となっています。

 

2 肺静脈圧が上昇していくと間質から浮腫が生じていき、肺静脈がさらに上昇すると間質をこえて肺胞性の浮腫にまで進行する。

これが両肺門部に融合するとバラフライシャドウとなります。

 

3 上肺野の血管が太く、下肺野の血管が細いためうっ血によって肺静脈圧が上昇がしてくると上肺野から白くなりやすいとされています。

 

4 補助診断ツールであるため、常に全身状態や他の検査も参考にします。

ちなみですが、BNPは腎機能悪化で上昇、肥満では上昇しにくく、ARNIやDPP-4内服中 でもBNPは分解抑制され上昇要因になります。 

その際は影響を受けないNT-proBNPを 参考に判断します。

 

5胸水がたまると肋骨横隔膜角(CP angle)は鈍角(dull)になります。

 

⚪︎以下の文章で正しいものを選びさない

1急性冠症候群(ACS)はST上昇型心筋梗塞(STEMI)と不安定狭心症が含まれる。 

2ACSである全ての患者にPCIやCABGが適応になる。 

3心筋症などの場合、心不全発症後で治療によりEF改善する可能性はない

4心係数と肺動脈楔入圧で心不全の評価は困難である。

5HFrEFはLVEF60%未満の心不全をいう

 

「解説」

1これらに加えてNSTEMI、心臓突然死を含めた一連の症候群をいいます。

 

2ACSフローチャートにNSTEMIの低リスク群は外来管理可能となっています。

 

3 初発拡張型心筋症由来の心不全は治療後、症状消失・EF 改善・普通の生活が できる

 可能性があります。

 

4フォレスタ―分類による心機能評価が可能になります。

心係数は臓器灌流に影響し、肺動脈楔入圧は肺うっ血に影響します。

これらをみて治療方針を決めることができます。

 

5LVEF40%未満がHFrEFに分類されます。

その他、LVEFが保たれた(EF50%以上)の心不全をHFpEFといい、軽度EFが低下(EF40〜50%)しているものをHFmEFといいます。

 

⚪︎心疾患の記述として正しいものを選びさない

1心サルコイドーシスは高度房室ブロックを起こすことはない

2アミロイドーシスの標準治療でステロイド適応になる

3心筋炎の症状は 感冒後に胸部症状や心不全症状出る 

4Fabry病は遺伝子との関連は少ないとされている。

 

「解説」

1心サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患です。

高度房室ブロックや重症心室性不整脈の合併が起こり、突然死を起こすこともあるとされています。

心不全に対する対症療法の他、ステロイド治療も行うことができるため正しい診断も重要とされています。

 

2アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる異常な繊維性たんぱくが心臓やその他の臓器に沈着する全身心疾患です。

心臓につくと進行性かつ難治性の心不全を呈します。

治療はトランスサイレチン四量体安定薬(タファミジス)が ATTR 心アミロイドーシスに 予後改善効果があるとされています。

 

3心筋と親和性の高いウイルスの感染によって発生するとされています。

典型的な臨床経過では感冒症状+消化器症状から始まり、数日の経過で心膜刺激による胸痛や心不全症状、不整脈などが生じます。

 

4X染色体性の遺伝子異常とされています。

スフィンゴ糖脂質が全身の細胞に沈着し、心臓でも臓器障害を起こします。

日本人の心肥大の1〜3%でファブリー病があるという報告があります。

 

⚪︎貧血に関する文章で正しいものを選びさない

1貧血は急性心不全および慢性心不全の独立した予後規定因子になる

2貧血がある場合は積極的な鉄剤投与が推奨 されている

3心不全患者に対して腎性貧血がある際にエリスロポエチン製剤の投与は予後改善効果

が見込まれ積極的に投与を推奨されている

4ヘモグロビンが8.0g/dl未満で赤血球輸血の妥当性が示されている。

 

「解説」

1貧血は全死亡、心臓死、心不全による再入院の独立した危険因子であることが研究で明らかになっています。

 

2心不全に対する鉄剤投与は明確なエビデンスが得られていません。

値を正常化する安易な鉄剤投与は推奨されていません。

 

3エリスロポエチン製剤の投与が心不全増悪入院の改善効果は認められていません。

投与によって血栓塞栓症の発症もあり、血液粘稠度の上昇作用や血圧上昇作用が影響していると考えられています。 

 

4ヘモグロビンの値が7.0g/dl未満から赤血球輸血の妥当性が報告されています。

 

⚪︎リハビリテーションの文章で正しいものを選びさない

1NYHA分類Ⅲ度の患者は有酸素運動でジョギングはして良い

2身体活動能力質問票(SAS)でつらいと感じる運動はその運動は過負荷 になる

3NYHA心機能分類Ⅰ度は健常者と同じく階段昇降することが困難である

4心房細動の運動処方の強度は Borg指数15~17 を目安に設定する

 

「解説」

正解は2です。

1NYHA分類Ⅲ度は高度な身体活動制限がある状態です。

3NYHA分類Ⅰ度は心疾患はあるが、身体活動に制限がない状態です。

4心房細動の有無は関係なく運動処方の強度はBorg指数で11~13程度(楽である〜ややつらい)を推奨 されています。

 

⚪︎うつ病に関しての記述として正しいものはどれか

1うつ病について、薬剤でうつになる可能性もある

2うつ病スクリーニングにおける自己記入評価尺度に はPHQ2 とPHQ 9 がある

3自殺企図があれば全例精神科紹介 するべきである

 

「解説」

1二次性うつ病として甲状腺の影響や薬剤の影響も挙げられる。

2 冠動脈疾患患者に対して推奨されており、PHQ2で陽性になった場合はPHQ9に進み、点数が高い場合は専門医への紹介を推奨されています。

3自殺企図のみで重症度判断できないため、他所見で総合的に判断して紹介します。

 

⚪︎栄養管理の記述に関して正しいものはどれか

1BMIの算出は 身長(cm)÷体重 (kg)で求められる。

2慢性腎臓病は食塩3g未満/日を推奨されている

3糖尿病を合併している心不全のエネルギー算定目安は 目標体重(年齢考慮)×エネルギー係数(肥満は低く設定)である

4塩分・水の過剰摂取で後負荷は上昇しない。

 

「解説」

正解は3です。

1BMI={身長(m)×身長(m)}÷体重(kg)で算出されます。

 身長の単位はメートルなので注意が必要です。

 

2過度な塩分制限は死亡率が上昇するとされており、3g/日未満は推奨されていないです。 CKDにおける塩分制限は 3g 以上、6g 未満を推奨されています。

 

4 塩分摂取が増加すると、浸透圧を保つために血液に水分が引き込まれ循環血液量が増えます。(前負荷の上昇)

さらに増えた循環血液量は抹消血管抵抗も上昇させて、血圧が上昇します(後負荷の上昇)。

つまり前負荷・後負荷どちらもともに増大して心不全の増悪に繋がります。

 

⚪︎「脳卒中と循環器病克服の為の 5 か年計画」における5戦略として挙げらているもので間違いなのはどれか

1人材育成

2医療体制の充実

3登録事業の促進

4高齢者治療の充実 

5予防・国民への啓発

 

「解説」

正解は4です。

あと1つ当てはまるものは臨床・基礎研究の強化になります。

 

2023年に受験した過去問から抜粋をして、オリジナル問題を9問出題しました。

理解を深めながら、試験勉強に活かしていただけたら幸いです。

 

まとめ

今回は心不全療養指導士の各章ごとの過去問についてまとめてきました。

オリジナル問題を9問作りましたので、ぜひチャレンジしてみてください!

問題の答えの根拠は公式テキストにありますので、全体的に網羅しながら勉強したい人におすすめです。

テキストを読んでおくと解ける問題なのでしっかりテキストを読み、勉強して試験に臨みましょう!

受験者みなさんの合格をお祈りしています!!

この記事がみなさんの受験勉強に役立つことを願っています!

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